「ねえねえ」

「なあに」

「サンタさんくるかなあ」

「きっとくるよ」

「ぼく、いいこだったよね?」

「わたしは?」

「おねえちゃんはいっつも、いいこだよ。
 ねえ、ぼくは?」

「レナートも、いいこだったとおもうわ」

「そしたら、プレゼントもらえる?」

「うん、もらえるよ、きっと。たのしみだね」

「うん」


  ‡

まだサンタクロースを信じていたころ、
私は弟と一緒にサンタを待った。

私たちを可愛がって下さった司教様が、
物心ついた頃にもう親のいなかった私たちに、
どんな想いでプレゼントを贈って下さったのだろう?

幼かった私たちは、
サンタの正体を知らないまま、ある計画を思いついた。

本当に幼く、純粋で。
その計画はほんとうにささやかだったけれど、
とてもあたたかいものだった、と思う。

  ‡

「司教さまにおねがいしたらお鍋かしてもらえるかなあ」

「サンタさん、お外からくるの、さむそうだものね」

「どうしよう? おねえちゃん、紅茶いれられる?」

「紅茶…は、ちょっと、わかんない」

「ミルクでいいかなあ」

「でもねむくなっちゃいそうね。紅茶、がんばっていれてみようよ」

「あ、のこしておいたおやつのクッキーも」

「あ、そっかあ、あったね」

「ねえおねえちゃん、よろこんでくれるかな?」

「サンタさん、きっとよろこんでくれるよ!」

  ‡

俺と姉との幼い子どもならではの計画。
それは、雪空の中を飛んでくるであろうサンタへのねぎらいだった。

見様見真似で紅茶を淹れて菓子を添え、そして手紙を置く。
俺と姉なりの、感謝の気持ちだった。
それを見た司教様はどのように感じられたのだろうか?

朝起きて無くなっていた紅茶とクッキー、そして一通の手紙。
それを見て、幼い俺と姉はとても喜んだと記憶している。
しかし今振り返ると、その時彼がどう思ったのかがとても気になった。


俺たちにとって司教様は父親のような存在だった。
彼にとっても、俺たちは子どものような存在だったのだろうか。
そうであればいいと、思っている。
司教様が生きていたあの時、俺たちはとても幸せだったのだから。
子がサンタの正体を知らずに為したことを、
親ならばどのように受け止めるのだろうか?

ただひとつ言えるのは、
俺と姉だけのサンタクロースを、
俺も姉もとても愛していたということだろう。

――その気持ちだけでも、
この聖夜に、彼に届けばいいと思っている。


だって今日は、
神の子が生まれたもうた日なのだから。

  ‡

「ねえ、おねえちゃん、サンタさんよろこんでくれるかなあ?」

「よろこんでくれるといいねー」

「プレゼント、たのしみだねえ」

「うん、そうだね――」





 +++++++

 今年のクリスマスは双子幼少時でドンです。
 物心つく前に半ば無理矢理両親から引き離されて
 神殿で育てられた双子ですが、
 可愛がってくれた司教を父親のように思って育ちます。

 彼もまたふたりを子のように思っていたようで、
 ささやかにクリスマスの贈り物をしていたようです。

 高齢だった彼は、双子がまだ十になるやならずの頃に、
 この世から去ってしまいました。
 その時期までは、ふたりは本当に幸せだったのでありました。

 
 これはそんな時期の小話。


おまけ小話