険者の宿スペランサ                        _

*胸編
*シアさん=きょぬー メイア=ひんぬー





「その、…あの、…胸、とか、なくても、いいと思いますし、あの、むしろ、ないほうがいいんじゃないかなって、私……その……」
「えー、どうしてー? アナスタシアさんスタイルいーからそんなこと言えるんですよー(´д`)ノ」
「…ええと、あの、ね、胸があっても、その、重いし、あの、肩も凝るし、動きにくいし、ええと、その…ふ、不便ですよ…?」
「Σ(´д`)」


「お兄ちゃん! あたしだって重くて不便とか言ってみたいよ! 肩凝るとか言ってみたいけどさあ!」
「…え、いや、どうしたんだよメイア。肩凝ったのか?」
「おにーちゃんのわからずや! そういうことじゃないもん! あたしだって言ってみたいけどおっきくないと言えないじゃない! おっきい人が言う意見じゃないあれ!」
「悪ぃメイア俺お前が言いたいことさっぱりわかんねぇ」


「なークルクスー? お前なんでメイアが機嫌悪いのか知らね?」
「知ってるわけないじゃない。そんな小さい小さい悩みなんか」
「うう、そうだよなあ…って、何か今含みなかった?」
「僕が何を知ってるっていうの? 僕にとってはそんなの小ーさな問題だよ」
「…?? うん、まあ、よくわかんねーけど。ありがとな」
「じゃあ大切な妹に言っとくんだね。"それは小さい悩みだ"って」
「そっか? うん、ありがと。言っとくな」


「…即座に殴り返されるだろうけどね」

ひとりほくそ笑む王子。



「メイアメイア」
「えーんなによお兄ちゃんー」
「いいか、えーと、なんだっけ、そうだ、"それは小さな悩み"だ! 気にすn」
「お兄ちゃんのブヮカァアアァァ!」
「なんでぇぇぇぇええええ!?」



「……どうしよう、私のせいかしら……
 私が、なんていうか、ああいうこと言ったから、
 メイアがごきげんななめで、それで…
 どうしよう、私、ごめんなさいを言わなきゃ…?
 で、でも、今のメイアは…こわいし……で、でも…」

ひとり悩むシア嬢。


「ごめんなさいシュリ私がメイアを怒らせてしまったからシュリが殴られることに……ご、ごめんなさい…」
「…え? アナスタシアさんがメイアを? なんで?」
「いえ、その、あの……大小の利点不利点の話を」
「へ?」
「と、とにかくあの、ごめんなさい、ごめんなさい…! 大丈夫ですか? 口の中切ったりしてませんか?;」
「俺は大丈夫です、けど、…メイア、反抗期なのかなぁ…」
「私が…」
「いや、違う違う、アナスタシアさんのせいじゃありませんって。たぶん。
 だって俺が「それは小さな悩みだ」って言うまであんなにキレちゃいなかったです」
「……そ、それが最後の追い討ちに…なったんじゃないか…と……」
「…え?」

胸の話だとはいえません。


「え? メイアが姉さんのせいで怒ってるって? どうして?」
「……あのね…」
「…別に笑わないし怒らないから言ってみなよ」
「…胸がね…大きいと邪魔だからないほうがいいようなことを言ったの」
「…む、むね…?」
「一緒にお風呂はいるといつも胸大きくていいなあとか言うの…だから、その」
「…えーと、つまり、メイアは自分が胸小さいって言われてると思って怒ってるの?」
「…わからないけど、そうかなって……」
「………胸ってそんなに重要?」
「………わからないの、私も教えて欲しい」
「………女の子って難しいね」
「………私も女だけど難しい」

双子の見解
「胸がどうしたっていうんだ」

しかし乙女の悩みは複雑です


「ごめんねお兄ちゃん、さっき殴っちゃったりして…ほんとごめんね」
「え? あ? う、あ、ああ…いいけど…
 な、何で怒ってたんだ?」
「ごめんねお兄ちゃん」
「なんか謝りながらさりげなく答えを拒否したな。
 まあ、いいんだけど…なんだったんだ…?;;」


「…すごい…メイアが正気に戻ったみたい。レナート、メイアになんて言ったの…?;」
「…え、俺は肉感的な女性よりもスレンダーな女性のほうが好みだけどなって言っただけ…なんだけどな…」
「……それで…?」
「……どうして…だろう?」
「…わからないわね」
「…全く」

好きな人が細身のほうが好きといえばそれで解決な乙女心。
解さない双子。


「…王子、なんかまるーくおさまりましたね」
「そうみたいだね」
「なんか誰もめーちゃんが胸のことでかなり悩んでることわかってないみたいですね」
「僕にもよくわかんないけどね」
「しょっちゅう思うんですけど」
「なんだい」
「王子といいアナスタシアさんといいレナートさんといい、疎いというか、興味ないというか」
「僕は興味ないほうだな」
「そろいもそろって正常じゃないですよね。わたしもひとのこと言えないんですけど」
「そもそも正常って何? みたいな」
「たぶんわたしたちの中でイチバン正常なのめーちゃんとシュリさんだけですよ」
「へー」
「興味なさそうですね」
「イリスもなさそうだね」

傍観者。(うち一人はメイアのキレた原因)



メイアちゃんはぺたんこなのをきにしています