険者の宿スペランサ                        _
*シュリとアナスタシア関連
*シアさんのしあわせ語りが多いかも

【ファーストコンタクト】                               _
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15歳の俺
16歳の私

初めて出会ったそのときに
惹き付けられたのはその哀しげな目
今にも泣きそうな表情でちらりとこちらを見た
俺は一瞬動けなくなって
そのきれいな顔をしばし見つめた

初めて出会ったそのときに
ちらりと見えたまだ幼げな顔に
真っ直ぐな目をしたその少年
そんな真っ直ぐな目をしたあなたを
私はほんの少し羨んだ


あなたはどこまでも悲しい目をして
あなたはどこまでも真っ直ぐな目をして

あまりに自分と違う相手のその目を
一瞬合わせてすぐ目を逸らす

この人が笑う日は来るのか?
この人が私と交わる日は来るの?

どこまでも交わることのない線のようなふたり
いつしか交わるときを想いもせず


+

「あの……ええと、初めまして…」
「…初めまして」
 先ほど少しだけ俺のほうを見ていたものの、白金の髪のそのひとは俯いてそれだけ言った。愛想も何も無い声で。
「あの、俺、シュリって言って、ええと…」
 彼女は俯いたままだ。どうもやりにくい。
「えーと、シュリ? こっちは俺の姉さんで、アナスタシア。アナスタシア=トランスウォラン。
 …ちょっと元気なくしてるけど、よろしくしてやってくれな」
「……あ…、…おう…」
 アナスタシア。
 彼女の名前は、アナスタシア。
「アナスタシア…さん、あの…ア、アナスタシアさん何歳なんですか?」
「…16」
 やはり愛想も素っ気もない。
「じゃ、じゃあ俺より年上なんですね。俺そのひとつ年下ですから」
「……そうですか」
 また少しだけ俺のほうを見たけれど、どこか覇気の無い目をすぐに伏せて、彼女は黙り込んだ。
「…………」
「……悪いな、シュリ。今は、…そっとしてやっておいてくれないか」
「…あ、ああ……ごめん……」
 申し訳なさそうに言う、レナートといったか、その少年の言葉に、俺は俯いた。
 何でだろう、凄くやりにくい。
 どうも彼女に近づくのは容易ではなさそうで。

「シュリさん、アナスタシアさんに惚れましたね」
「うわ!? …イ、イリス、お前かぁ」
「アナスタシアさん、なんか元気ないですよね」
「ああ…どうしたんだろ」
「まあ色々あるんですよきっと」イリスはにぃっ、と笑う。「男は辛抱ですよっ」
「辛抱っつってもなぁ…俺、ああいうタイプの女の子初めて話すしな…やりにくいっつーか」
「なんならこのイリスが恋のきゅーぴっとをやってあげましょうか?」
「…………」
 しばし見詰め合う。
「…おねがいしますイリスせんせい」
「よしきた! ですよ!」
 にやりとイリスが笑う。
 可愛げな子なのに、どこか悪戯坊主のような雰囲気の子だ。

 まあそんなわけで、それからイリスに彼女と話す機会を作ってもらったりしてはいる、のだが、……。
 少しずつ彼女は話してくれるようになってはいたものの、やはりどこか彼女は覇気がなかった。

「俺嫌われてるのかなぁ…」
「シュリさん、男は辛抱です」
「あう…」

 まだまだ道は険しそうだ。


【やさしいもの】                               _

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"優しいものだけに包まれて生きていけたら幸せなんでしょうか"
"そうやって生きてきたなら、絶対に俺とあなたは会えませんでしたよ"
"………そうですね、ふふ"
"辛いことがなくちゃ嬉しいことは嬉しくなくなりますよ"
"幸せに慣れてしまいますからね"
"そうそう。辛いことがあるから、幸せは幸せなんだ"
"…前向きですねえ"
"え? そうですか?"



【奇跡】                               _

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奇跡なんかはわりとすぐそこにあるもの

だって遠く離れた地に生まれた私とあなたが出会ったことも
今ここで笑いながら歩いているのも

元の地にいた頃なら想像することもできなかった

今出会えた人と今ここにいるそれが既に
奇跡にひとしい




【しあわせ】                               _
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今生きているしあわせや
今笑っているしあわせ

辛いことも乗り越えて
生きているすべてにしあわせを感じることを
教えてくれたのはあなただったから


【おやすみ】                               _
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「おやすみ」
「おやすみなさい」
「また明日」
「ええ、また明日」

これだけのやりとりが妙に好き


【あなた】                               _
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 何とはなしに淋しくなって一人うずくまっていた
 服の胸のあたりをきゅっと掴んで
 だけど淋しさは止まらなくて
 わけのわからない切なさに
 すこし泣きそうになった

 "どうしたんですか?"
 気がついたら部屋にいたあなたが
 私の顔を覗き込む
 私は目を逸らして黙り込んだまま

 "俺、なんかしました?"
 困ったように首を傾げるあなた
 私は首を横に振る
 あなたのせいじゃない
 何のせいかもわからない
 淋しい

 "それじゃいつもの病気ですね"
 にこっと笑ってあなたは手を差し出した
 顔を上げて首を傾げる私の手を
 あなたはすこし無理やり掴んだ
 そして立ち上がるように促す

 "いつもの病気ならこんなとこいちゃいけませんよ"
 "あの…病気って…?"
 あなたはにかっと笑って
 少し立ち上がりかけた私の手を引き上げた
 転びそうになりながら立ち上がって
 あなたの手を見つめた
 大きくてあたたかくてほっとして

 "アナスタシアさんの病気はさ"
 私の手をぎゅっと握って、あなたは言う
 "うさぎの死んじゃう病気ですよ"

 首を傾げる私に
 あなたは小さく笑う
 "アナスタシアさんは淋しがりやだからさ"


 さみしいさみしい
 そう心の中でずっと呟いていたのは
 全部あなたに聞こえていたのかしら

 "…皆と一緒なのにさみしいだなんて、私"
 私は少し俯く
 "ほんとに馬鹿ですよね"

 "大丈夫大丈夫、
  切ないときなんて誰でもありますよ。
  それにアナスタシアさんが淋しいなら"
 あなたはまたにかっと笑って
 あいているほうの手で私の頭を撫でた
 "俺がそばにいますからね"

 どうしてこんなに優しくしてくれるの?
 わけもわからないまま涙が出て
 少し泣いた

 だけどあなたはやさしく微笑みながら
 "あなたはひとりなんかじゃないから"
 そう言った

 このひとはどれだけ
 私にあたたかい言葉をくれただろう
 このひとはどれだけ
 私の閉じた心をひらいてくれたろう

 もう少しこのままでいさせて
 甘えることのできなかった私に
 ふつうの子どもみたいに
 少し甘えさせて

 手を握っていて
 それだけでいいから


【私の太陽】                               _
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あなたと出会えて初めて
生きる希望を見つけた

あなたと出会えて初めて
自分を愛せるようになった

あなたと出会えて初めて
しあわせだと 信じることができた

気づかせてくれたのは
いつも教えてくれたのは
あなたでした