16 言葉

 天才科学者ルッカ様は今日もゆく。

 とかいいつつ今日も今日とてシルバード搭乗だ。
 暇で暇でしょうがないから……気は向かないが彼を誘ってみた。

「ジャキ、しりとりしましょう」
「……は?」
 即呆れたような声が返ってきた。
「そもそも、しりとりというのは…?」
「げっ、あんた、しりとりも知らないわけ!? うそぉ」
「…悪かったな」
 そっぽを向いて拗ねてしまうジャキ――こと、魔王。
「べ、べつに悪いってわけじゃないわよ。いい、しりとりっていうのはね、単なる言葉遊びよ。前の人の言った言葉の最後の音を語頭にもつ言葉を順々に言い合うってだけの遊び」
「…何か意味はあるのか?」
 眉間に皺寄せ、彼は言う。
「意味がなきゃいけないわけ?」
 私は苛々と返す。
「無益なことはしたくないのだがな…」
 ぼうっと窓の外なんか眺めながら魔王氏は呟く。
「つーまーんーなーいーのーよッッ! 暇なの! 暇死しそうなの! これでおわかり!?」
「…よく分かったが何故俺なんだ」
「あんたしかいないのよ。ロボは操縦で精一杯だし」
「……まあ、よかろう」
 かくしてしりとり大会は始まったとか、なんとか。


「じゃあ私からいくわよ。しりとり!」
「利害一致」
「ちー…塵」
「理想体型」
「えーと……意味」
「未開拓」
「く…く…栗」
「利子返済」
「えー、イバラ」
「乱暴狼藉」
「きー…霧!」
「理解」
「いなせ!」
「世相」
「う、上っ」
「栄枯」
「こ…根拠!」
「恐怖」
「鮒!」
「なじる」
「類似!」
「自動加速」


「次はどうした?」
 魔王氏訊ねる。
 私はだんまり。
「…ネタ切れか」
ふいっとそっぽを向く魔王氏。
「…あっ…んたねえ、かわいくないわよ言葉が! 何よ乱暴狼藉とか利害一致とか!」
「…これじゃいけないのか?」
 眉間に皺寄せ魔王様。
「なんか微妙な気持ちになってくるのよ! はいもう1回やり直しよ! まったくっ」
「…かわいくない…と」
 魔王氏はなにやら考え込んだようであった。

「しーりーとーりっ」
「…リス」
「スイカ!」
「可憐な少女」
「じょっ…ジョッキ」
「狐」
「根っこ」
「コアラ」
「らぁ…ラッパ」
「パンダ」
「だ、ダイス」
「スズメ」
「メカ」
「風見鶏」
「利子」
「鹿」


「…またか」魔王氏溜息。「これ以上はもういいだろう」
 …違う…違うわ。
「ちょっと待って」
 魔王氏の肩を引っ掴む。「今回の言葉は何なわけ」
「…可愛くないというから可愛いようなものを言ってみた」
「……」
 天才科学者脱力。
「…いけないのか?」
 ジャキさんなにかズレてます。

 カエル、あなたの仇敵・魔王ジャキさん多分天然。