明 け の ガ リ ア ル ド
- Was nicht ist, kann noch werden. -
50年の長きに渡る戦乱と、終止符を打った英雄の話



いつも通り設定と小話で構成しようと思いたいきもち



発端 / 激化 / 英雄ローデンヴァルト一行 / その後









界 大 戦

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■北方暦前50年に勃発、50年の長きに渡る戦乱。




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  発端 / 激化 / 英雄ローデンヴァルト一行 / その後

当時勢力を伸ばしていた人間族の間で侵略戦争が勃発。
その矛先は人間族の領域だけではなく、山、森、海など、
他種族の領域をも我が物顔で侵略するに至る。

それぞれの領域に住まう竜族、エルフ、海生族などは
己の住む領域を侵略されまいとして対抗した。
それが世界大戦の始まりである。

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 化

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自らよりも遥かに強大な力を持つ他種族に対抗すべく、
人間族は、強大な魔力を持つ"災厄の化身たち"を
人間兵器として戦争に投入。

洗脳による人間の兵器化、
人為的な婚姻等による強力な子供の誕生と育成等、
倫理の崩壊した行為が横行する。

優れた技術を有する魔導都市が、
戦争に有用な道具の開発を進め、更に戦争は激化。

人間族対他種族の戦乱は泥沼化し、
双方共に数を減らしてゆく。

既に大戦の勃発の引き金となった権力者たちはこの世に亡く、
残された戦争のシステムだけが、
速度を増しながらただ続いていった。

やがて、戦乱の中に生まれた小さな希望の炎が、
戦乱を違う方向へと導いてゆくことになる。

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 英雄ローデンヴァルト一行

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戦災孤児を引き取り育てていた老魔法使い夫婦の住処、
"魔法使いの穴倉"出身の青年ライヒアルトと、リカルダ。
そして鍛冶の街アイゼンシュタット出身の傭兵ジークムント。
この三人を俗に"英雄ローデンヴァルト一行"と呼ぶ。

※ローデンヴァルトはライヒアルトの姓

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Reichardt = Rodenwald
- 英雄ローデンヴァルト -
  ライヒアルト=ローデンヴァルト / 男
21歳 / 186cm

戦災孤児の青年。後の"英雄ローデンヴァルト"。
"魔法使いの穴倉"と彼らが呼んでいる、魔法使いの老夫婦の住処に拾われて育つ。
娯楽の少ない戦乱の時代の穴倉で、数少ない趣味である読書に没頭していた。

穴倉の書物で、数十年前の"平和な時代"を知り、
自分の育った泥沼の戦乱時代に疑問を抱く。




極めて気のいい兄ちゃん。人懐こい。
ずぼらで、よくリカルダに世話を焼かれているしそれに甘んじている。
自分の為に行動することに関してはやる気が出ない。
大切な誰かの為に、掲げる理想の為に行動する強さを持つ。

未来を切り拓く意思、"青空を映したような瞳"。
あっけらかんとすっとぼけて見える言動をするが、芯は強い。
どうしていいかわからなくなると少し弱音を吐くが、
そんな時いつも叱って前を向かせてくれるリカルダには心密かに感謝している。
幼馴染のリカルダのことは"リカ"、ジークムントのことは"ジーク"と呼ぶ。

後世に残した名前は、ライヒアルト=ジークムント=ローデンヴァルト。






W e a p o n

V E R A N D E R I N G

"世界の変革"の希望を込め、
彼の為にドワーフの名匠が打った一振りの剣"聖剣ヴェランデリング"。







"相手をねじ伏せる力が、更に強い力を呼ぶ。
 そうやって戦いが広がっていったんだ。
 人間の始めた戦いを、人間が止めなくて誰が止めるんだ。
 誰かが立ち上がらなきゃ、戦いはいつまでも終わらない。
 ――だから、俺、行くよ"


"たとえ俺が倒れても、誰かが立ち上がることに意味がある。
 そう思いたいんだ、俺はね"


"ちびたちの喧嘩と一緒さ。
 おまえたちも悪いことしたら相手に謝らなきゃいけないだろ?
 50年間、人間は言えてないんだ。――ごめんなさい、を"


"オトナの仕事は、未来への足掛かりを残すことさ。
 これ、じいちゃんの受け売りだけどね"


"リカは、俺を護る為にこんなところまで付いてきちゃうようなやつなんだ。
 だから、何が何でも俺がリカを護らなきゃだめなんだ。
 リカは「余計なお世話」って言うかもしれないけど"


"……ああ、ジーク、ごめん。俺、まだ生きなきゃいけないみたいだ。
 頼むよ……リカを護ってやって……"


"切り裂く力が欲しいわけじゃない。打ち倒す力が欲しいわけじゃない。
 ……俺が欲しいのは、世界を変える力だ。未来を切り拓く力なんだ!"


"俺は、俺だけはもう――引き返すわけにはいかない。
 あらゆる種族が託した願いを、俺は背負っている。
 そして、ジークが俺に託した――変革の意思"


"俺はもう、誰も失いたくない。
 ジークが残した言葉も、託した意思も、俺が今諦めたら全て消える。
 俺がジークの意思を継ぐ限り、ジークの意思は生き続けるんだ。
 俺はあいつの意思を未来に繋がなきゃならない。
 痛みを知る者だけが真に強くなれる。――ジークの受け売りさ。
 ジークと引き換えに知った痛みを、無駄にしちゃならないんだ"


"俺はあいつやリカや、多くの種族たちの希望の光を背負っているんだ。
 だからこそ、もう絶対に立ち止まらない。
 聖剣ヴェランデリングにかけて。
 ――親友ジークムントの誇り高き魂にかけて"


"俺の名は――ライヒアルト=ジークムント=ローデンヴァルトだッ!"


"……うん、リカは絶対にそのままでいて。
 俺はリカの幼馴染のライヒアルトだ。……せめてリカだけは、そのままでいて"



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Ricarda = Rosas
- 僧侶リカルダ=ロサス -

  リカルダ=ロサス / 女
18歳 / 143cm

"英雄ローデンヴァルト"ことライヒアルトの幼馴染。魔法使いの穴倉出身。
後の神殿機構設立者、"創始者ロサス""大司教"と呼ばれるようになる存在。
神聖魔法の使い手で、書物で読んだ女神信仰に興味を示している。



気丈で心優しい少女。極めて背が低く、子供扱いされやすいが、本人はしっかり者。
ライヒアルトの世話を焼くも、しばしば彼からはからかわれている。

ライヒアルトが旅立とうとするのを心配し止めようとするが、
どうあっても決意の揺るがない彼を見て諦め、彼に同行して彼を護ろうと考える。
「アルトくんはわたしが護らなきゃ」と考えているので、
たとえ窮地に立たされたとしても気丈に立ち上がる。

基本的には保守的な姿勢。芯の強い少女。感情表現は比較的豊か。
言動も芯の通ったものが多い。
運動能力は低いので、言動とは裏腹によくあわあわしている。
いまいち大人に見られない、そんな子。
ライヒアルトのことは"アルトくん"、ジークムントのことは"ジークさん"と呼ぶ。

神殿機構設立後、ライヒアルトに娶られている。





W e a p o n

Z E K E R S T E M

リカルダがドワーフ族長から与えられた杖。"聖杖ゼークルステム"。
女神の声を受け取りやすい波長にする、精神増幅器でもある。
とりわけ女神と通じるが為に神聖魔法の効力が増す。
魔力も増幅される。

無尽蔵の愛情を持ちながらも
世界に関与することを許されない存在である女神を、
リカルダは"声なき愛情"と称したが、
その声を伝える為に名匠によって生み出された杖である為に
その杖は"ゼークルステム"、"確かな声"と名付けられる。







"アルトくんを置いてくわけないじゃない! ねえジークさん、お願い。
 少しだけでいいの、時間を稼いでください。アルトくんを治す時間が欲しいの"


"護られてばかりいるわけにもいかないの!"


"……いじわる"


"50年間、世界は戦い続けてきたの。今更、戻れないわ。
 竜やエルフにわたしたちが敵う訳がないというけど、
 敵おうが敵うまいが、わたしたちが示さなきゃいけないのは力じゃない。
 相手をねじ伏せるだけでは、戦いは終わらない"


"力や媚びへつらいで誰かを本当に動かすことはできないわ。
 誇り高き意思を動かすのは、誇り高き意思だけ。
 あなたも、あなた自身の誇りをかけなくちゃいけない。
 50年の時を、無駄にしないためにも"


"本当に世界を変えたいと願うなら、その強い想いがあなたの《ちから》になる。
 わたしたちはそれを示さなきゃいけないの。
 それがあなたの、《未来を切り拓く力》。《世界を変える力》。
 その聖剣ヴェランデリングを掲げたなら、もうあなたは後戻りはできない。
 前に進む意思があるなら、誇りを持ってその剣を掲げるの!"


"……、ね、アルトくん。
 本質はいつだって変わりはしないわ。
 アルトくんは、アルトくんだって、わたしは知ってる……
 ……あなたも、忘れないでいて。あなたは、あなたでしかないということ。
 あなたは心の中では、いつだって自由なの。囚われないでいて。
 あなたの胸に灯る光を、見失わないでいて。
 そうしたら、きっと、あなたは歩いていける。

 どうしようもなくなっても、わたしがいる。
 道に迷ったらいつもみたいに背中ひっぱたいてあげるから。
 ……わたしが護ってあげなきゃ、もう、ほんとに……だめなんだから"




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Siegmund = Bussel
- 傭兵ジークムント -
あほづら   ジークムント = ビュッセル / 男
27歳 / 192cm

愛称はジーク。手練れの傭兵として一部では有名。27歳児。刀剣コレクター。
ライヒアルトの旅に随行するが、後に竜族と刺し違えて命を落としている。

鍛冶の街アイゼンシュタット出身。
名の知れた鍛冶職人の父親を持ち、自身も将来を嘱望されていた。
しかし過度の期待に疑問を抱き反抗、荒くれ者集団に属し、母親から見放されている。
母親の強い拒絶の為か、女性を嫌う傾向にある。

寡黙だが優れた技術を持つ父親のことを尊敬している。
母への反抗として鉄打ちの道を捨てたが、刀剣への興味はある。






直感的に動く。そこまでうだうだと考え込むのは好きではない。
ひねくれ者だが、情に厚い。
気に入った相手にはとことん人懐こい。男と男の付き合いに重きを置き、女性を少々見下す傾向にある。
ライヒアルトをいたく気に入っており、逆にリカルダに対しては反抗的なそぶりを見せる。
ライヒアルトを"アルト"、リカルダはそのまま"リカルダ"、もしくは小姑と呼ぶ。




W e a p o n

F L A U R O S

得物は、父親が作り上げた最高傑作の名も無き魔力ある名剣。
ジークムントはそれに"フラウロス"と名付けて愛用している。





"お前は誰にモノを言っているんだ?
 傭兵にモノを頼む時は、言葉より先に出すモノがあるだろう。――カネだよ、カネ"


"全く、魔法都市の連中が都市を捨ててから仕事がないったらありゃしねえ。
 人間たちは皆この戦いがもう負け戦だと思ってんだろうな。諦めてやがる。
 お前さんがこの世界に戦いを仕掛けるってんなら、俺を雇いな。
 ――前金はきっかり5000リラス。びた一文まけねぇ。後金は働きに応じて、だ"


"それがお前の戦いか。――たまらねえな、少年。
 俺はそういう、アツい奴が嫌いじゃねえのよ。若さってのはいいねェ。
 いいだろう、どうせやることもないからな。とびきりの情報を教えてやろうか?"


"ドワーフ族の鍛冶技術は、世界を脅かす兵器さえ生み出すってぇ話だ。
 しかしな、奴らは争いを嫌って穴倉に引きこもってやがる。
 奴らに剣を打たせるのは容易じゃねぇだろうが、
 もし奴らから剣を与えられたとすれば、それはお前がドワーフに認められた証だ。
 それは、おまえさんの挑む戦い――世界の調和にも一役買うと思うぜ。
 剣も手に入るし、一石二鳥って所じゃねぇか? ま、知らんけどな"


"とは言ってみたものの、俺もドワーフたちが住む所は知らねえんだ。
 それまでは俺のコレクションを一つ貸してやるよ。
 ちなみに、賃貸料は一日100リラスな。こいつもびた一文まけねぇ"


"俺を雇わずに行っても構わねぇが、その剣じゃあ苦労するだろうぜ。
 名剣の賃貸は、傭兵ジークムント様雇用記念特別特典なんだぜ。
 ちなみに賃貸料も特別価格でのご奉仕! だ"


"ちっ、小姑が来たぜ"


"――愛しているってえのは何なんだ? てめえの所有物じゃねえんだよ、俺はッ!"


"言っとくが――アルト、お前、俺を殺したやつらを、恨むなよ……
 お前が、断ち切りたいのは……恨みと、憎しみが渦巻く、死の螺旋なんだ、から……"


"いくつもの、意思が……誇りを持って、戦って……そして、破れたんだ……
 それはもう、仕方のない……ことなん、だ"


"リカ……ルダ、自分を、責めんなよ……
 ……お前にゃあ……何かと……辛く、あたった、なぁ……
 しかしよ……、お前は、俺が唯一、認めた女だ……忘れんな、よ……
 ……アルトを……護って、くれ……俺のぶんも……」


"俺ぁ……我ながら存分に働いたぜ……
 報酬は……まけといてやるよ……俺のフラウロスを、俺の、墓標に――"



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◆ライヒアルトの働き、終戦


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長きに渡る戦いを終結させんと仲間を率いて立ち上がり、
竜族やエルフ達、海生族への交渉、
その他種族や精霊達への協力を得る為に世界中を旅する。
その結果他種族の長に認められ、戦争を止める意思を固めさせた。

人間代表のライヒアルトと、
他種族の長たちとで不可侵条約を締結。
長きに渡る戦争は終結する。


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◆その後


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■ローデンヴァルト一行
ライヒアルトは"英雄ローデンヴァルト"と呼ばれ、
新しい世界の希望の光となるべく、エーデルグランツを建国。
僧侶リカルダは、女神信仰の神殿機構を設立。
後にライヒアルトに娶られている。

■他種族
他種族の族長達はライヒアルトを認めるが、
その他の人間族のことを良くは思っていない。
それはその後長きに渡って続いた。

■"災厄の化身"たち
人間兵器として洗脳・偏った教育をされた彼らは、
戦争終結と共にその役目を失う。

彼らは既に"人間族を護るもの"ではなく、
驚異的な力を秘め、いつ爆発するとも知れぬ不発弾でしかなかった。
過ぎた力を持った彼らは、他種族からも、人間族からも迫害された。
そして行き場を失った彼らは、人里離れた土地に隠れ村を作り
そこで暮らすようになる。


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◆おまけ ドワーフ族長の言葉


「争うのは愚かだ。そう、ドワーフたちは思い続けている。
 しかし、わからなくはないのだよ。
 新しいものを得たいと思った者の想い。
 護るべき領域を汚された者の想い。
 何が何でも護りたいと思うものの想い。
 恐れるあまりに攻撃することでしか身を護れなかった者の想い。
 ドワーフにもわかるのだよ。だからこそ、止めることができないのだ。
 おまえたちはみな、心の信じるべき道を進んでいるのだろう?」


「不毛な戦いの螺旋。わしらにはそれが見える。
 おまえたちがみな心の信じるべき道を歩んでいるとしても、
 わしにはその螺旋の先が見えぬ。見えるのはただ、光なき深淵だ」


「おまえは、一筋の光だとドワーフは願う。
 深淵を目指す不毛の螺旋を打ち壊す、希望の光になることをドワーフは祈る。
 おまえに、剣を与えよう。世界の変革を願う者よ」


「その剣を掲げるということは、ドワーフの願いを、
 世界の希望を、多くの民の祈りを背負うということだ。
 おまえに、その剣を掲げる決意があるなら、わしらはこの剣を託そう」


「世界を変える力。未来を切り拓く力。それは、おまえの心にある。
 その光に願いを託そう。さあ、受け取るがいい。聖剣ヴェランデリングを!」


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